鈴木ヒラクは1978年生まれ。「ドローイング」を絵画と言語のあいだに位置づけ、平面・彫刻・インスタレーション・壁画・映像・パフォーマンスなど多様な媒体を横断しながら、その定義が導く新たな表現の可能性を探求している。光を反射する素材を多用する彼のインターメディア的アプローチは、変化する現代の環境から文字や記号の断片を掘り起こし、それらを再構成して時空間に管状の線を生成する—彼が「もうひとつの考古学」と呼ぶ—方法に根ざしている。洞窟壁画、楽譜、都市交通、植物、鉱物、天文現象など、世界に遍在する線の形態をアーカイブし、身体を媒介として再構築することで、鈴木は「ドローイング」を宇宙的な視点から再解釈し、その概念を拡張することを試みている。
主な個展に『今日の発掘』群馬県立近代美術館(群馬、2023年)がある他、グループ展に『MOTアニュアル2019 Echo after Echo:仮の声、新しい影』東京都現代美術館(東京、2019年)、『BOOM』MOCO Panacée (フランス、2019年)、『Very Addictive』銀川現代美術館 (中国、2016年)、『ソンエリュミエール、そして叡智』金沢21世紀美術館(石川、2013年)、『六本木クロッシング 2010展:芸術は可能か?』森美術館 (東京、2010年)などがある。作品は東京都現代美術館、金沢21世紀美術館の他、アニエスベー・コレクション(フランス)やロンドン芸術大学(イギリス)などに収蔵されている。
2016年よりドローイング研究のプラットフォーム『Drawing Tube』を主宰。音楽家や詩人らとの協働やパブリックアートも数多く手がける。作品集に『SILVER MARKER―Drawing as Excavating』(HeHe、2020年)など、著書に『ドローイング 点・線・面からチューブへ』(左右社、2023年)がある。
2008年東京芸術大学大学院美術研究科修了。2011年ロンドン芸術大学チェルシー校に滞在後、アジアン・カルチュラル・カウンシル(ACC)の助成によりアメリカに滞在。2012年公益財団法人ポーラ美術振興財団在外研修員としてドイツに滞在。2023年文化庁芸術家在外研修員としてフランスに滞在。2017年The international FID Prize drawing contestグランプリ受賞。2024年第35回タカシマヤ美術賞受賞。