三瓶玲奈

光をつかむ

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12月17日(土)- 2月4日(土)
12:00 - 19:00 日・月・祝 定休

*12月25日(日) - 1月9日(月)は冬季休廊いたします。

1月29日(日)16:00から17:00まで、国立西洋美術館主任研究員の新藤淳さんをゲストに迎え、三瓶玲奈とのトークイベントを開催します。

ご参加希望の方は、こちらのフォームよりお申し込みください。

 

 

「光をつかむ」

 

Yutaka Kikutake Galleryでは、12月17日(土)から2月4日(土)まで、三瓶玲奈の個展「光をつかむ」を開催します。

 

線や色、あるいは光や温度といった諸要素についての考察を通じ、自身の絵画を追求し続ける三瓶玲奈。風景や事物はどのように認識されているのか。あるいはそれらがより深く感受され記憶されるための条件とはなにか。人間の知覚の問題にも及ぶこれらの問いかけを「線を見る」や「色を見る」といった個々のテーマに連ね、制作を積み重ねてきました。本展は、三瓶がこれまでに取り組んできたモチーフを新たに解釈し描き直した作品群、そして本展構想のメルクマールともいえる、水の入ったコップを描いた作品を含む、およそ十数点の新作絵画によって構成されます。過去の実践を振り返りながら、三瓶は自身の意識が以前とは異なっていることを感じたといいます。見ること、そして絵を描くことに対する作家の問いかけは、より一層深度を増し、本展において知覚とイメージの関係性に及ぶ発展を遂げています。

 

「光をつかむ」と題された本展は、2018年に開催された個展「水の重さ、滲む光」への作家の現在地からの応答でもあります。当時三瓶は描く対象の原風景へ立ち戻るというプロセスを通じて、自身が抱くイメージに湿度という要素が欠けていたことを見出しました。この時の体験を現在から振り返り、それは欠けていたのではなく差異としての湿度が既にそこにはあったのだと実感するに至った三瓶は、さらに夜グラスに注いだ水が翌朝日の光を受ける情景を目にし、イメージとは個人を超えた普遍的なものに成り得るのではないか、という着想を抱きました。風景や木漏れ日、あるいは水たまりなど、作家によって描かれるのは、日常で誰もが目にするありふれた光景です。個々の体験や記憶に左右されない、フラットで中立的なイメージの成立、およびその共有を考察する三瓶の姿勢は、彼女が選び取るそれらの主題からも読み取れます。

 

三瓶がベルクソンの「物質と記憶」を参照していることは、彼女の作品を紐解くためのもうひとつの重要な補助線となってくれるでしょう。そこからは、事物と表象のはざまに現れる「イメージ」をいかに捉えるか、といった画家の試みが浮かび上がってきます。三瓶の実践は、描くこととともに、より「見る」ことの領域へと拡大しつつあります。イメージを描出する、またそれらを見るということは、一体どういうことなのか。知覚とイメージの問題を指標として掲げつつ、これまでに取り組んだ線や色、および光のテーマを捉えなおす新作群は、過去と現在の間で彼女が見出した差異の分の彩りを帯びて、画家の新境地を照らし出すことでしょう。

 

絵画をキャンバスに立ち上げる自身の試みを、湿度や温度、手触りなど、触感を連想させる言葉で解く彼女の作品は、高い抽象性を帯びながら、どこか温かく、親しみを感じさせるものです。Yutaka Kikutake Galleryでの5度目となる個展「光をつかむ」は、作家のこれまでの成果、およびこれからの歩みを示唆する統括的な展示となります。三瓶玲奈の紡ぎ出す新作絵画の構成にぜひご注目ください。

 

 

 

アーティストについて

 

三瓶玲奈は1992年愛知県生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科修士課程油画専攻修了。三瓶の絵画は、抽象と具象という両極を行き来するようにして描かれている。作家の身近に存在しているもの、作家が経験したこと、作家の周囲で立ち上がる現象―それらが、一見簡潔に見えながらも深く練り上げられた絵筆のストロークと絵の具のバランスによって描き出され、あるときは抽象的な、あるときは具象的な作品へと結実する。絵画が成り立つ条件への深慮を感じさせつつ、独特の作品世界へと惹きこむ三瓶の作品からは、これからの現代絵画の試みをさらに押し広げていくことが期待される。