Tomoya Matsuzaki

松﨑友哉は、1977年福岡県生まれ。1997年に渡英し、2002年セントラル・セント・マーチンズ・カレッジオブアートアンドデザイン学士課程修了、2004年チェルシー・カレッジオブアートアンドデザイン修士課程修了。現在はロンドンと東京を拠点に活動している。自身の作品制作のほか、アーティストの視点で展覧会のセルフ・キュレーションやプロジェクトスペースの立ち上げにも携わる。

 

松﨑は近年、自身によって形作られた厚みをもった石膏に描く絵画を集中的に発表している。「空間にひそむリズムやその状態を視覚的に表す」ことに興味があるという松﨑の作品は、意識的・無意識的な筆跡や即興的な動作を重ねることで制作されるが、空間のリズムは留まることがないという作品が志向することとは相反する事実によって、作品が矛盾するふたつの世界を共存させるような場となる。

絵画はある奥行きをもった世界であり、絵画空間と呼べるものは確かに存在しているが、一方では、それは石膏と絵の具からなる物質的な塊であるとも言える。いびつな形状の石膏を支持体に選び、ときにTORINUKEと作家自身が名を与えた穴を穿つことによって、空間と物質というともに多次元的な要素を操作しながら、いかにして両者のハーモニーを導き、絵画を生み出すことができるのか? それは松﨑の試みの核心であると言える。

 

近年の主な展覧会に「Crossing」(Hagiwara Projects/2019)、「A creak in the stair」(SIXSECOND/2018)、「Odd Metre」(White Conduit Projects/2017)がある。

2018年、ピーター・ブレイク、デヴィッド・ホックニー、ピーター・ドイグなども受賞したイギリスで60年続く絵画公募展「ジョン・ムーアズ・ペインティングプライズ(John Moores Painting Prize)」に入選。