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六本木
2026年5月23日(土) - 7月18日(土)
12:00 - 19:00 日・月・祝日休廊
グラフィックデザイナー・田中義久(1980-)と彫刻家・飯田竜太(1981-)により2007 年に結成されたアーティストデュオ・Nerhol(ネルホル)。写真と彫刻を往還しながら探求を重ねる独自の実践は、連続写真の束に彫刻を施す初期のポートレート作品から、帰化植物や珪化木をめぐる近年の実践に至るまで、国内外で高い評価を獲得してきました。千葉市美術館における大規模個展「水平線を捲る」(2024年)および、埼玉県立近代美術館での「種蒔きと烏 Misreading Righteousness」(2025年)を経て、結成以来の表現活動を振り返り、新たな境地への幕開けを宣言しました。本展では最新作を中心とした展示構成にて、Nerholの多層的探求とその現在地を明らかにします。
連続撮影した写真の束を彫り刻むというNerholの実践は、さまざまな領域に広がりを遂げつつ、深化を経てきました。人物にはじまり、帰化植物、エドワード・マイブリッジの連続写真に至るまで、取り扱うモチーフを広げてきたNerholは、近年、数万枚にもおよぶ動画の静止画を縦に積み重ね、その積層を横から見せるという新たな試みを展開しています。本展にて二人が取り組むのは「身体(ボディ)」という主題。プロの人体モデルを撮影した映像から数万枚に及ぶ静止画を出力し、それらを手作業で裁断した短冊が積み重ねられます。本シリーズは、鑑賞者を肉眼では決して捉えることの出来ない、ミクロな時間軸、不可視の閾、存在の隙間へと誘います。生のはらむ多層性への挑戦、物理的世界の断面にくさびを打ち込み、それらを別の位相から捉える試みともいえるでしょう。一方、隣には同じ被写体を撮影した静止画の出力を平面方向に積み重ね、従来通りに彫りが施された作品が並びます。初期の頃には数百枚におよぶ枚数が重ねられていたというこのシリーズは、本作において極めて枚数が減じられています。縦方向への数万枚の積層と、わずか数枚の、しかし同じ身体の重なる位相を切り取って彫られた作品との対比的構図は、時間と空間への思索を内包しながら、その探究の重層性を鮮やかに示しています。
時間と空間、可視と不可視、マクロとミクロ ― 写真と彫刻を行き来してきたように、次元と概念を往還しながら発展と深化を続けるNerhol。その探求は、本展において身体というモチーフを通じ、より見る者との繋がりをひらき、豊かで多層的な現実の可能性への気づきをもたらします。見る者の姿を映し出す珪化木 ― 数万年の歴史と現在を繋ぐ錫の鏡面によって ― で行われた試みが、鑑賞者それぞれに内在化するゆえに、彼らをより作品へと結びつける「身体」の主題および実践へと発展を遂げたと解釈することも可能でしょう。2024年には、斬新な取り組みの成果が評価され、令和6年度芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞しました。絶え間ない考察と実践を重ね、二人はさらなる新境地を目指します。
Nerhol
飯田竜太と田中義久の二人からなるアーティストデュオ。2007年よりNerhol(ネルホル)を結成し、現在は東京を拠点に活動。書物やそこに印された文字、世界に存在する図像の定型を異化するような探求にはじまり、2011年には数分間かけて撮影した200カット以上の全て異なるポートレートを束ね、それに彫刻を施した立体的な肖像作品で大きな注目を集める。日常生活において見落とされがちである有機物が孕む多層的な存在態を解き明かす試みがその実践においてなされている。
近年の主な個展に「種蒔きと烏 Misreading Righteousness」(埼玉県立近代美術館、埼玉、2025年)、「Household Vestiges」(Yutaka Kikutake Gallery、東京、2025年)、「水平線を捲る」(千葉市美術館、千葉、2024年)、「Tenjin Mume Nusa」(太宰府天満宮宝物殿、福岡、2024年)、「Beyond the Way」(レオノーラ・キャリントン美術館、サン・ルイス・ポトシ、メキシコ、2024年)、「Affect」(第一生命ギャラリー、M5 GALLERY、東京、2023年)「critical plane」(Yutaka Kikutake Gallery、東京、2021年)「Interview, Portrait, House and Room」(Youngeun Museum of Contemporary Art、韓国、2017年)、「Promenade」(金沢21世紀美術館、石川、2016年)など。
主な所蔵先に、Foam Museum(アムステルダム)、Youngeun Museum of Contemporary Art(韓国)、Fundación AMMA(メキシコ)、太宰府天満宮(福岡)、千葉市美術館、埼玉県立近代美術館、東京都写真美術館。
2025年に令和6年度(第75回)芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。
飯田は、1981年静岡県に生まれ。2004年日本大学芸術学部美術学科彫刻コースを卒業、2014年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術専攻修了。現在は東京を拠点にしている。
田中は、1980年静岡県生まれ。2004年武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科を卒業後、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。東京を拠点に活動を続ける。